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[友達トモ]
俺にはトモって言う友人がいる。小さい頃からの友人で兄弟のように育った。
何ヶ月も遊ばない時があればひっきりなしに遊ぶ事もあった。が、ここ2、3年は
ほとんど会う事もなかった。でも俺等は友達と言うより兄弟に近い関係だから
『仲が悪くなった』と言った事ではなく、ただ仕事が忙しい・住んでる場所が遠い
と言った理由からだ。しつこいようだが友人と言うより兄弟に近い関係だから
読んでくださってる方は兄弟だと思って読んだほうがしっくり来るかもしれません。
そして、3ヶ月前位の事だ。共通の友人から驚愕の報告を受けた。
「なぁ、トモの奴・・・ガンらしーよ?」
「何だそれ?やばいの?」
「よくはわかんないけどヤバイらしーよ。」
正直信じられなかった。と言うより現実味がなかった
俺は身近な人間、親であったり親しい友人の死と言うものに直面した事がない。
祖父母も健在である。祖父は2年前に大腸ガンになったが幸い早期発見であったらしく
大事には至らなかった。
そんな経験しかなかったためか俺はあまり危機感を覚えなかった。さらに近い内、とある用事があり
会う約束があったので、俺は何かアクションを起こすと言った事はしなかった。
そして約束の日。トモは現れた。しかも病気ってーのは嘘なんじゃないかって思わせるような
笑顔で。別に痩せたよーな事もない。さらに話ているとおもむろにタバコを取り出して
火をつけた。それには驚いた。それが表情に出たのだろーかトモが喋りだした。
「お前俺がガンって知ってるよな?タバコ止めたと思った?」
今までどこまで聞いていいのか?触れられたくないのでは?と思っていた俺だが
その時確信した。
『やっぱガンっても大した事ないんだな。』
そう思い返答した
「思ってたよ。やめないの?」
「あぁ、もーすぐ止める。」
そんな会話をしたからか今まで聞く事をためらってた事を聞く事ができた。
「癌、どんな感じなの?たいした事ないんだろ?」と聞くとトモの口から意外な言葉が返ってきた。

「今、再発待ち。近い内再発するらしーんだけどそしたら癌センターに入るらしーんだよね」
意味をよく理解できなかった。なぜなら
癌とは一度なると取り除いても転移し再発するかもしれないと言う事は知っていたが
トモの口ぶりは絶対に発症すると言った風だったからだ。
これは後に知った事だが必ず転移し再発するとわかる場合もあるらしい。
だが、トモが世間話をするかのように話すので、やはり事の重大さを認識できなかった。
そしてそれ以上その事に触れる事なくその日は別れた。
それから数日後、諸事情によりトモの事をよく知る人と話す機会ができた。
その人が言う事はよくわからなかったが、二つだけ理解できた。
トモの癌は癌の中でも珍しいものであるらしい。決して楽観視できない。この二つだ。
さらにそれから数日後、トモが入院したと報告を受けた。

それが丁度一月位前の話だ。その頃になって要約、事の重大さがわかってきていた。
しかしそれは同時に俺に見舞いを躊躇させていた。
『会ったら何て言えばいいんだ?トモだって会いたくないんじゃないか?』と、思ったからだ。
そんな折、友人数名で見舞いに行こうという話しが持ち上がった。
必ず見舞いには行かないといけないが1人では・・・と思っていた俺は情けないが正直ホっとした。
そして少し前に見舞いに行ってきたんだよ。病室は大部屋なのだが患者はトモ1人だけだった。
病室にはいってトモを見て愕然とした。髪が抜け落ちていたからだ。
TVなどでは知っていたが実際目の当たりにすると表しがたい感情がこみ上げて来た。
トモは俺等に気づくと笑顔を浮かべながらベットから体を起こした。
「俺、太ったでしょ?」
たしかに太っていた。痩せるならわかるが逆に太っているのには驚いた。
友人が喋りだした
「あぁ、少し太ったな。食欲はあるのか?病院食でも太れるんだな。」
「いや、ここ何日食事は口にしてない。これはね点滴で太ったんだよ。抗癌剤の副作用で味覚障害
が起きてるんだ。しかも何食べても戻しちゃうわけ。酷いつわりみたいなもんなんだよ。」と
いつもの笑顔で話した。
『何で笑ってられるんだよ』
その時何も喋らない俺を不思議に思ったのかトモが俺のほうを向いた。
そして目が合った瞬間、俺は目をそらしてしまった。するとトモも察したのだろう、
「どお?この頭。洒落になんないよな。まぁ薬止めたらまた生えてくるらしーけど。」
その問いにさえ俺は答える事ができなかった。そして一瞬沈黙が流れた。
「うん。もういいよ?皆今日はありがと。」トモが言った。会ってからまだ
10分やそこらなのにだ。きっと俺等に気を使ったんだろう。
普段はあまり人に気を使うタイプの人間じゃないのにだ。
トモはどんな気持ちで話をしていたんだろう?どんな気持ちで笑っていたんだろ?
トモごめんな。本当は俺が気持ちを紛らわせてやるために行ったのに・・・
でも、その日も朝食をおいしいと思って食べた俺が何て言葉をかけたらよかったのかな?
また行ってもいいのかな?その時なんて言えばいいのかな?

と言う話です。かなり長文スマン!しかも泣かせる感動話ではまったくない!
これまたスマン!さらにこの長文を『どんだけ感動できるんだ?』と思って最後まで
みて下さった方、時間を無駄にさせてしまってマタマタマタスマン!!
確かに脚色すれば感動話にする事も出来たかもしれないが、それをやるには
かなり抵抗があって出来なかった!スマン!!!
でも、それでもなお、許してくれてなおレスしてくれる方がいるのであれば教えて欲しいのですが。
俺はトモになんて言えばいいですか?どーすればいいですか?俺に出来る事は何かありますか?

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