PAGE [11]
[親父]
親父が死んだときの話。
今から7年前親父が死んだ。そのころ親父は単身赴任で九州から東京で一人暮らししてた。
たしか2年くらい向こうにいたかなぁ。たまに電話ではなしたり、夏休みとかは家族で遊びに行ってネズミの王国とかにいったりした。
でもそんなある日、学校から家に帰ったら母ちゃんとじいちゃんが家におらず、ばあちゃんがお父さんが倒れたからお母さんたちは向こうに行ったと聞かされた。脳卒中らしかった。
それから数日後、母ちゃんたちはかえってきて一緒にお見舞いに行くとのことになった。
東京に行くのにちょっと浮かれて兄弟して旅行分で向かったが、ガキだったとはいえ今思えば不謹慎だったなぁ。母ちゃんもその時は笑ってた。
病室に着くと親父は昔と変わらない姿で寝ていた。まだ息もあり、手も握ってはげました。俺はその時、そのうち目が覚めてまた元気になるだろうとおもってた。
ただ母ちゃんは親父の手を握ってこらえるように泣いていた。(数年たって聞いたがその時はすでに脳死だったらしい)
数週間経って親父は死んだ。
学校の休み時間担任の先生から急用で家に帰って来いとの連絡があったとつたえられ、急いで家に帰ると、ばあちゃんが真剣な顔で
「お父さんの死にんさった。明日向こうに行きんしゃい。でも、今度はただ寝とるだけやなかけんね。」
と告げられ、泣いた。
東京に向かいもう冷たくなった親父を見て号泣した。最後に何を話したかも覚えてないことが更に悲しかった。
通夜、告別式、葬式が終わって、親戚一同で納骨をしに行ったときのことだが、季節外れのトンボがなぜか叔父の肩に2度もとまった。
そのとき叔母が
「死んだら最初は虫に生まれ変わるって聞いたばってん、本当やったとね。」
と涙ながらに話していたことが印象にのこってならない。

親父は天国で元気でいるかな。
せめて一緒に酒が飲める年になるまで生きてろよなあのデブ。
明日墓参りにはタバコとビールもっていってやろう。
[前n][次n]


[セ編集]